2018年度センター英語追試験の分析 本試験のようなSFは出題されず

大手予備校で中1から高3の基礎クラスから東大クラスまでほとんどのクラスを担当しました。映像授業にも多数出演経験あり。
元東海大非常勤講師。
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資格:英検一級、通訳案内士(英語)、TOEIC950点
趣味:海外旅行、食べ歩き
特技:将棋アマ六段 (全国レーティング選手権優勝 1998)
元技術翻訳者、元富士通
今回の内容
1. 注目のタコ宇宙人は出題されず
2018年度のセンター英語の追試験。
実際のところ、追試験は本試験の一週間後に実施されるのですが、すぐに公開される本試験とは違い、数ヶ月先まで公開されません。
今回の追試一番の注目点は第5問です。
本試験の Selection from the Exploration Journal for Planet X (惑星Xの探検日誌からの抜粋)のようなSFチックな内容の物語が出題されるかが注目されていました。
結果は残念?ながら普通の物語。
ESA (サービスアニマル)の問題で、解き易かったと思います。
2. 2018年本試験との違い
大問数-大問数は6で、本試験と同じ。
設問数-設問数は48で、本試験と同じ。
本試験と同様に、センター試験が始まってからずっと存在していた第3問Aの会話文がなくなりました。
解答数-解答数は54で、本試験と同様に昨年度より1つ減少。
( 2017年の第3問Aの設問数は2。2018年で設問数が増えたのが第4問B。55 – 2 + 1=54問 )
3. 設問毎の感想
3-1 第1問A 発音
問1の④said [séd] は中学で初登場した時にしっかり覚えておけば問題ないですが、意外と間違える人が多いですね。
問2の①monekyは[モンキー]ではなく[マンキー]。moneyを[モネー]と読む人はいないのに[マンキー]を正しく言える人が少ないのはなぜ?
問3の子音[h]の発音で主題は黙字。センター黙字好きですね。この問題は難しいという人もいそう。
3-2 第1問B アクセント
本試験同様にアクセントのルールが少なかった。山を張ってた人はガッカリしたかも。
正解にはなりませんでしたが、問4の③photographerはアクセント超重要語!
photograph / photography / photographer のアクセントの位置の区別は超重要です。
photograph は2019年の本試験に出てもおかなしくないと思います。3-3 第2問A 文法・語法
一般的に追試験は本試験よりも難しいと言われます。特に2Aは明らかに本試験よりも難しいですね。今年もそうでした。
明らかに簡単な問題がほとんどないですね。いくつか気になった問題を。
3. Do you know how ( ) Terry will come back home?
①close ②near ③recent ④soon
・how soon 「どれくらい早く」→ 「後どれくらいで」は大丈夫だったでしょうか?これに対してはhow long の嘘答があるはずもないですね。難しいといってもセンターなのでそこは少し易しめ。
4. Jane ( ) the idea of allowing students to use cellphones in school.
①complained ②disagreed ③objected ④opposed
これは難しいですね。oppose「反対する」他動詞、object「反対する」自動詞はよくある区別。
object to Ving という形も頻出ですね。(toは前置詞)
complain (about) もdisagree (with) もそれぞれ自動詞ですね。
10. ( A ) people become very ill ( B ) how important their health is.
①A : Not until B : they will realize ②A : Not until B : will they realize ③A : Until B : they will realize ④ A : Until B : will they realize
・Not until ~ 「~して初めて」
・文頭に否定を含む副詞がくると、後に続く文は必ず倒置
国公立二次や私大では頻出の倒置ですが、センター試験で倒置が出題されるのは少し珍しい印象です。
3-4 第2問B 整序英作文
問1のthe last person ~は受験生なら知らないといけない表現。
問2のテーマは形容詞+enough to Vの形。
本試験ならもっと簡単そうですが。形容詞もここでは過去分詞だし、組み合わせが多く間違えそうな問題。
問3もWhat S is like? なら基本形ですが、isの代わりにtasteを使っているので少しだけ解きづらくなっています。
3-5 第2問C 会話完成
本試験と同様に、全体的に文が長くなっていますね。第3問Aの会話文がなくなった代わりに第2問Cを長くしたのは間違いないかもしれません。
問1はcome up with ~「~を思いつく、考え出す」頻出熟語。目的語がideaというのもよくある組み合わせ。
問2はarrvieかと思いきやat least。ただひっかけの要素は弱いですね。
問3はbe supposed to の使い方を知っていれば、他の選択肢は易しかったと思います。
3-6 第3問A 不要文削除
本試験同様に第3問Bから第3問Aになった不要文選択。
問1は明快に解ける問題。問2、問3も少し迷うかもしれませんが、まずまずやり安いだったと思います。
3-7 第3問B 発言要約
2018年の第3問Bは図書館の利用率改善についてのディスカッションでした。
問3は2017年の本試験に全員の発言に共通した内容を問う問題が登場して少し意表をつかれましたが、2017年追試、2018年本試、そしてこの2018年追試と4回連続で出題されました。
だた、本試験は難し目でしたが、追試験はあからさまに図書館について知らないという学生の発言が目立つので解き易かったと思います。
しかし5名以上が話し合いをして全員に共通の意見があるのはディスカッションとして不自然だと思うのですが、2019年の本試験も出題されるのでしょうか?
3-8 第4問A 図表読み取り
アメリカ人学生で海外留学が増えているという話。
問1で第一段落の内容を問う問題が出ました。4Aは第一段落の精読が肝というのは今回も当てはまりました。
ただ全体的に素直な解きやすい問題が多かった印象。本試験もそうだったので2019年の本試験は難しくなるかも。
第4問B 広告文
本試験同様に2018年のセンター英語4Bは従来より1問増えましたが、こちらも解き易かった印象。
問3は計算問題でしたが、60*4 +140 = $380。十分に易しいですが、4Bの中では難しい方?
計算を必要とする問題は4Bよりリスニングの方が難しい気がします。
第5問 物語文
冒頭に述べたように出題形式が注目された追試験の第5問ですが、蓋を開けてみたら普通の問題。
内容はやや意表のEPA(Emotional Support Animal) の話。日本では定訳がないのかな?サービスアニマルなどと呼ばれているようです。
盲導犬や介助犬の類かと思ったのですが少し違うようですね。エモーショナル・サポート・アニマルとは心理的に人間を助けてくれる動物のようです。
問題は全体的にかなり解き易かったと思います。意味類推問題はbearでしたが、これは受験生なら類推問題でなくても「我慢する」という意味は出て欲しい所。
それにしてもセンター物語の好きな「綺麗事」が多かった印象。
飛行機が揺れる中怯える少女が犬を膝に置くと恐怖がなくなった。うーむ。
そして、最後の問題の答は「人間と動物はポジティブな関係を築くことができる」うーむ。
まあそうですが、飛行機に犬が乗っていたら怖いと思う人もいそうですが、まあ良いか。
こちらが本試験に選ぶのが自然だったと思うのですが、なぜでしょうね。
しげT
第6問 評論文
少し珍しいテーマでした。「創造的な作品に関連した場所を訪問することは利益になる」という話。
少し読んで、大ヒットした韓国ドラマ「冬のソナタ」のロケ地が観光名所になっているという話を思い出しました。ドラマに限らず芸術家のファンにもルーツを辿る旅をする人は多そうです。
内容的には2018年の本試験同様に清々しいくらい例年と同じパターンでした。
長文の中では第4問Aと第6問は変わらない印象がありますが、最近は特にそう感じます。
第一段落を精読することが大事で、段落を重視するスタイルも例年通り。飛ばし読みがしやすいのも例年通りでした。2018年の追試験は2Aは明らかに2018年の本試験よりも難しいと思いましたが、後は本試験とあまり変わらないレベルだったと思います。
しげT
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特技:将棋アマ六段 (全国レーティング選手権優勝 1998)
元技術翻訳者、元富士通